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第一種電気工事士

概要


 電気工作物の工事に従事する場合、電気工事士免状の取得者である必要があります。電気工事士となるためには、一般財団法人電気技術者試験センターが実施する国家試験に合格後、都道府県担当部局又は電気工事工業組合に申請し都道府県知事より取得する必要があります。


電気技術者試験センター


電気工事士には次の2つの区分がありますが、どちらも受験資格は実務経験不要です。法改正で2021年4月1日施行により、第一種の免状取得は実務経験が5年から3年に短縮されました。第二種の免状取得は実務経験不要です。


  • 第一種電気工事士
  • 第二種電気工事士

時期


試験は、10月に筆記、12月に技能それぞれ実施されています。2023年度(令和5年度)からCBTが開始されたことにより「筆記試験」という名称は「学科試験」と変更され、2024年度(令和6年度)から第一種も第二種と同様に年2回の開催となりました。1年以内に連続して受験する場合、第二種合格確認後では、第一種の申し込み期限が過ぎていることがありますので注意が必要です。

上期
  • 学科:CBT 4月~5月
  • 技能:7月

下期
  • 学科:CBT 9月 または 筆記 10月
  • 技能:11月

科目


筆記試験の科目は2科目を1つの試験として受験します。

  1. 一般問題
  2. 配線図

技能試験は10の公表問題から1つ出題され、一部公表情報から変更されていることがありますので、配布される問題の施工条件に対応する必要があります。


学習


 学科は、オーム社の筆記テキストと電気書院の問題集、技能は電気書院の技能テキストを使いました。


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第一種電気工事士筆記試験 完全攻略
第一種電気工事士 項目別過去問題集
第一種電気工事士技能試験 技能試験の攻略手順

一般問題及び配線図

 オーム社の筆記テキスト『完全攻略』を1回通読し分野を確認した後、『項目別過去問題集』を1周し直前に再度確認しました。項目別過去問題集はカテゴリー毎にまとめられており、問題のバリエーションに対応できるようになります。

技能

 電気書院の『攻略手順』は写真によって詳しく解説されており、欠陥の注意点が一番分かりやすく感じました。100V及び200Vの低圧回路は第二種と同じですが、高圧の2次側の回路はいくつかのパターンがあるので施工条件通りに構築する必要があります。特に、検流のR相、S相、T相の3パターン、タイムスイッチ4端子及びタイムスイッチ3端子のAND回路、OR回路の3パターン、検圧のR-S相、T-R相の2パターンは回路設計をしっかり覚えておく必要があります。技能は通信工事と有線テレビジョン工事の経験があったので工具の扱いは問題ありませんでした。練習及び本番の試験に必要な工具を買い足して使いました。1~8は第二種で使い、9~11は時間短縮のために第一種で追加で使いました。


  1. プラスドライバ(No.2)
  2. マイナスドライバ(5.5mm)
  3. ケーブルストリッパ
  4. プライヤレンチ
  5. リングスリーブクリンパ(圧着器)
  6. スケール
  7. ナイフ(電工用)
  8. ペンチ
  9. 電線測定ゲージ
  10. ケーブルカッター
  11. ワイヤーストリッパ




 電気書院の技能テキストを参照しつつ、ホーザン社の部材セットを使い公表問題の電気回路10題を1回分施工しました。1つ施工すると技能試験の意図が分かり、3つ施工すると慣れてきます。後はそれぞれの回路を経験して製作速度を上げておきましょう。ホーザン社のケーブルより国家試験のケーブルの方が加工し易いため、ホーザン社は訓練になります。


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第一種電気工事士技能試験 練習用部材 DK-61

電気技術者試験センターに筆記試験と技能試験の過去問が公開されています。

電気技術者試験センター 試験の問題と解答

対策


 技能に慣れるために先に第二種を取得しました。工具は一覧の1~9まで共通です。テキストと問題集は技術評論社のものを使いました。第二種は更新の必要がない永久免状であり、IoTやHEMSなど最新の住環境を構築する際にも使えます。2022年度 某東京会場 第二種技能試験では No.9、2023年度 某東京会場 第一種技能試験では No.10 が出題されました。練習では的確に迅速に手を動かすことを最優先にし、時間計測を一切しませんでした。実際の技能試験では、第一種は40分程度、第二種は20分程度で完成しました。

実務


 電気工事士以外では3つの法定講習を受講しました。特に高圧・特別高圧と認定電気工事従事者の2つの講習は高圧を扱うため、講習内容と講習テキストは第一種に役立つ内容です。電気工事の実務に必要な技術基準や規定があります。実務者はこれらの基準や規定に基づいて工事を遂行しています。

  1. 低圧電気取扱特別教育
  2. 高圧・特別高圧電気取扱特別教育
  3. 認定電気工事従事者認定講習

 第一種の利点として、試験合格のみで電気事業法の許可主任技術者となることができ、認定電気工事従事者資格者証を申請できます。第一種は免状を取得すると5年毎の更新が必要です。第一種の工事範囲は第二種と認定電気工事従事者を包括していますが、第一種合格または免状取得で第二種を申請し取得する事例がなく、経済産業省や都道府県知事の承認が必要になりますが現実的ではありません。電気主任技術者は実務経験で第一種を取得できますが、第二種は取得できません。将来、第一種の返納を考えると第二種を受験して取得しておくことも一つの選択肢です。但し、今後法改正による制度変更があるかもしれません。



本ページは、2023年の情報です。内容は予告なく変更されます。